プラントの設備保全

さまざまな化学物質や設備を生産するために欠かせない生産設備や大型機械などのプラント。ここでは、そうしたプランを安全に運用するためのプラント保全について学んでいきましょう。

プラント保全とは

工場にはさまざまな機能があり、その機能を全うするためにたくさんの機械が働いています。クレーンや焼却炉などといった機械設備をまとめて「プラント」と呼びます。

各種設備によって構成されるプラント

工場にはその目的に応じて、大小さまざまな機械が稼働しています。例えば、ゴミを運搬するためのクレーンや焼却炉、熱エネルギーを回収するためのボイラーなどがそれに当たります。それらの機械をまとめて呼ぶ言葉が「プラント」です。

プラントを構成する機械設備の一つひとつの保全は、プラント、ひいては工場そのものが正常に稼働するために欠かせません。工場はその中にあるさまざまな機械や設備が十全に稼働して初めてその目的を果たせるものであり、一部でも不具合があれば全体の稼働に支障が出てしまいます。

老朽化への対策が「プラント保全」

日本は高度経済成長期を経て大きく発展してきました。その背景には、たくさんの工場、ひいてはプラントが建設されてきた事実があります。しかし、高度経済成長期に建造されたプラントの多くは老朽化が進み、事故や不具合のリスクが高まってきているのです。

プラント保全の目的は、まさにこのプラントの老朽化の対策と言っていいでしょう。もちろん、各種プラントは事故やトラブルをいち早く発見できるように、あるいはできる限り長く使えるように定期的なメンテナンスや動作チェックが行われていますが、どんな設備にも稼働限界があるので、老朽化による問題は避けられません。

さらに、プラント保全問題は機械だけの問題にとどまらず、それに関わるスタッフも関係しています。作業員の高齢化、後継者不足、属人的技術の継承の難しさなどといった人員に関わる問題もプラント保全の大きな課題となっているのです。

プラント保全の重要性

プラントを安全に稼働させるためには、プラント保全は欠かせません。では、プラントの設備保全はどのような側面から重要だと言えるのでしょうか。

目的1:プラントを安全に稼働させる

プラント保全の最大の目的とも言えるのが、プラントを安全に稼働させることです。前述の通り、プラントはさまざまな設備がすべて十全に稼働して初めてその機能を発揮します。そのため、どこかひとつの機械や設備の稼働に問題が出るだけで全体がうまく動作しなくなり、生産性や稼働率の低下を招くでしょう。プラントの種類によっては、最悪の場合、大規模な事故や災害につながることもあります。そのため、プラントが安全に稼働するためにプラント保全が欠かせないのです。

目的2:老朽化への対策

どんな機械や設備も、老朽化という問題は避けられません。そのため、プラント保全においては老朽化をいち早く発見して事故やトラブルを未然に防ぐことも大きな目的のひとつとなります。プラントが正常に稼働しているかどうか、部品の劣化などがないかを定期的にチェックし、問題がある箇所は修繕や部品交換を行うことでプラント全体が常に正常かつ安全に稼働できるようにするのです。また、プラントを常に新しい状態に保つことができればプラントの稼働率も高い状態で維持できるでしょう。

目的3:長く設備を使えるようにする

プラントで使用されている機械や設備は、いずれも高額なもの。そのため、破損したらすぐに取り替えればいいというわけには行きません。プラント保全の目的には、プラントで使用されている機械や設備を定期的にメンテナンス・チェックして、できる限り長く安全に使えるようにすることも含まれています。

いったんプラント内の機械や設備に重大なダメージが発生すれば、修理や交換に高額な費用が発生するという金銭的な問題だけでなく、その間プラントが使えなくなるという生産性の低下の問題も生じます。そうした問題を避けるためにも、プラント保全は非常に重要なのです。

保全スタイルについて

事後保全・予防保全・予知保全の3つの保全スタイルについてまとめました。特徴やメリット・デメリットなどを記載しているので、プラント設備保全について知りたい人は、ぜひチェックしてください。

事後保全

設備が故障して完全停止したり、機能の一部がスムーズに動作しなくなったりしてから対応する保全のこと。保全業務に専門の人員やコストを充てる必要がないので、ランニングコスト面での負担を少なくできます。

一方で、一時的な生産ストップや長時間の復旧作業により、生産計画に遅れが生じることも。

事後保全のメリットが活かせるシーンは、短期的な保全業務です。設備の保全にあまり時間を要さない場合やリスクが低い箇所において、長期視点の保全対策が必要ないケースがあります。その場合は、事後保全にてできる限りコストを抑えることが良策かもしれません。

プラントの事後保全について詳しく見る

予防保全

予防保全とは、メーカーが設定した耐用回数・年数を基準にして、定期的に保全業務を行うことです。決まった周期で部品の交換や点検、修理を実施するため、故障を未然に防げます。故障リスクが低くなるということは、設備の故障による品質・生産効率の低下やダウンタイムの長期化といった問題の回避に繋がるでしょう。

定期的に保全業務を行わなければならないため、ランニングコストはかかりますが、大きな故障によるコストの増大を予防できるのがポイント。長い目で見ると、コストを抑えられるのが予防保全です。

プラントの予防保全について詳しく見る

予知保全

予知保全の大きなメリットは、不要な保全業務を削減できることです。プラント設備の故障や不具合を検知した場合のみ保全作業を行うので、人件費・部品交換費に無駄がありません。壊れそうな部品を適宜交換したり、不具合の早期発見により簡易的な修理で設備の故障を防いだりできます。

IoTデバイスなどの検知システムを導入する際のコストがデメリットとして挙げられますが、人件費・交換費の削減や大きな故障による生産活動の停止を予防できるというメリットを考慮して検討すべきです。

プラントの予知保全について詳しく見る

実績×サポートで選ぶ
愛知のプラントエンジニアリング
会社4選